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作品情報

恍惚の人

◇基本データ

タイトル恍惚の人

公開年1973年

製作国日本

配給東宝

◇スタッフ

監督 豊田四郎 (トヨダシロウ)  

製作 佐藤一郎 (サトウイチロウ)   市川喜一   

原作 有吉佐和子 (アリヨシサワコ)  

脚本 松山善三 (マツヤマゼンゾウ)  

撮影 岡崎宏三 (Kozo Okazaki)  

音楽 佐藤勝 (サトウマサル)  

美術 小島基司 (コジマモトジ)  

編集 山地早智子   

助監督 鈴木一男 (スズキカズオ)  

照明 榊原庸介 (サカキバラヨウスケ)  

◇キャスト

俳優名役名

森繁久彌 (モリシゲヒサヤ森繁久弥)立花茂造

小野松江 (オノマツエ)茂造の妻

田村高廣 (タムラタカヒロ)立花信利

高峰秀子 (タカミネヒデコ)立花昭子

市川泉 (イチカワ)立花敏

乙羽信子 (オトワノブコ)京子

浦辺粂子 (ウラベクメコ)門谷のお婆ちゃん

杉葉子 (スギヨウコ)木原婦人

伊藤高 (イトウ)山岸

篠ひろ子 (シノヒロコ篠ヒロコ)エミ

中村伸郎 (ナカムラノブオ)藤枝

吉田日出子 (ヨシダヒデコ)瀬川邦子

神保共子 (ジンボキョウコ)敬老館の少女

野村昭子 (ノムラアキコ)笈川千恵

大久保正信 (オオクボマサノブ)火葬場の係員

若宮大佑 (ワカミヤタイユウ)おでん屋の老人

大辻しろ (オオツジシロ大辻伺郎)運転手

◇解説

息子も孫も顔をしかめてそっぽを向くボケた八十四歳の老人との温かい心のふれ合いを日常茶飯事の中でとらえる。原作は有吉佐和子の同名小説。脚本は松山善三、監督は「地獄門」の豊田四郎、撮影は「喜劇 泥棒大家族 天下を取る」の岡崎宏三。

◇ストーリー※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。

立花家は、84歳の茂造、その息子夫婦の信利と昭子、子供の敏が同居していた。茂造は老妻が死んで以来、ますます老衰が激しくなり、他家へ嫁がせた自分の娘の京子の顔さえ見忘れていた。それどころか、息子の信利の顔も忘れ、暴漢と錯覚して騒ぎ出す始末。突然家をとび出したり、夜中に何度も昭子を起こしたりする日が何日か続いた。昭子は彼女が務めている法律事務所の藤枝弁護士に相談するが、茂造の場合は、老人性うつ病といって老人の精神病で、茂造を隔離するには精神病院しかないと教えられた。昭子に絶望感がひろがった。ある雨の日、道端で向い側の塀の中からのぞいている泰山木の花の白さに見入っている茂造を見た昭子は胸を衝かれた。茂造には美醜の感覚は失われていない、と昭子は思った。その夜、昭子がちょっと眼を離している間に茂造が湯船の中で溺れかかり、急性肺炎を起した。だが、奇跡的にも回復、昭子の心にわだかまっていた“過失”という文字が完全に拭いとられた。そして、今日からは生かせるだけ生かしてやろう……それは自分がやることだ、と堅い決意をするのだった。病み抜けた茂造の老化は著しくなった。そんな時、学生結婚の山岸とエミが離れに引っ越してきた。茂造は今では昭子の名さえ忘れ“モシモシ”と呼びかけるが、何故かエミにはひどくなつき、エミも色々と茂造の世話をしてくれるようになった。しかし、茂造の奇怪な行動は止まなかった。便所に閉じ篭ってしまったこと、畳一面に排泄物をこすりつけたこと……。ある日、昭子が買い物で留守中、雨合羽の集金人に驚いた茂造は恐怖のあまり、弾けるように外へ飛び出した。血相を変えて茂造を捜す昭子の胸に、迷子になり母の姿をみつけた少年のような茂造がとび込んできた。それから二日後、木の葉の散るように茂造は死んだ。昭子の脳裏に茂造の姿が浮かんでは消え、消えては浮かんだ……頬に一粒の涙がこぼれ落ちた。

(c) キネマ旬報社
(c) Variety Japan

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