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作品情報

影の車

◇基本データ

タイトル影の車

公開年1970年

製作国日本

配給松竹

◇スタッフ

監督 野村芳太郎 (ノムラヨシタロウ)  

製作 三嶋与四治   

原作 松本清張 (マツモトセイチョウ)  

脚本 橋本忍 (Shinobu Hashimoto)  

撮影 川又昂 (カワマタタカシ)  

音楽 芥川也寸志 (アクタガワヤスシ)  

美術 重田重盛 (シゲタシゲモリ)  

編集 浜村義康 (ハマムラヨシヤス)  

録音 栗田周十郎 (クリタシュウジュウロウ)  

スチール 赤井博且 (アカイヒロカツ)  

照明 三浦礼 (ミウラレイ)  

◇キャスト

俳優名役名

加藤剛 (カトウゴウ)浜島幸雄

岩下志麻 (イワシタシマ)小磯泰子

小川真由美 (オガワマユミ)浜島啓子

岩崎加根子 (イワサキカネコ)浜島の母親

滝田裕介 (タキタユウスケ)浜島のおじさん

近藤洋介 (コンドウヨウスケ)石川

岡本久人 (オカモト)小磯健一

小山梓 (コヤマアズサ)浜島の少年時代

永井智雄 (Tomoo Nagai)小磯貞雄

芦田伸介 (アシダシンスケ)刑事

◇解説

松本清張の同名原作を清張文学の映画化では定評のある橋本忍と野村芳太郎のコンビが日常性の奥に潜む恐怖を描いた作品。撮影は野村監督と名コンビぶりを発揮してきた川又昂が担当。また、この作品では従来、映画では不可能とされていたカラーの分解処理〔多層分解〕が試みられている。

◇ストーリー※ストーリーには結末の記載を含むものもありますのでご注意ください。

浜島幸雄はある日、幼馴染の小磯泰子の呼びかけにふりかえった。この偶然こそ、平凡な男の生涯を根底からゆさぶる運命の声であった。浜島は旅行案内所に勤続十二年の係長で妻の啓子は万事に社交好きで陽気である。毎日が会社と団地の往復、生活も仕事も単調で味気ない浜島は、泰子に会って同じバスに乗っただけで軽い興奮があった。二度目に泰子に会った時、すすめられるままに泰子の家を訪ねた。四年前に夫に死なれた泰子は六歳の健一と二人暮し。保険の集金と勧誘でつつましい生活だ。健一は父親がないためか、孤独癖のある無口な子供だった。夢多き思春期の共通の追憶に話がはずみ、浜島の泰子への傾斜は急ピッチであった。やがて、狭い泰子の家では、健一の眼が浜島には苦手な存在になった。だが、自然の成り行きで二人は結ばれた。初夜のように白無垢の長襦袢で浜島を迎えた泰子がいじらしかった。浜島は健一を手なづけようと、心をくだいたが、その都度失敗した。浜島にも幼い日に夫を失った母と伯父との間に立たされた忘れ得ぬ記憶があったから健一の反感が必要以上に応えた。そして、健一が自分を殺そうとしている突飛な幻想に悩まされはじめた。一度は妻と別れて泰子と結婚しようと決心しながら、健一のことを考えるとまた泰子を諦らめようかと思い迷った。空閨を癒やされた泰子は啓子への後ろめたさも、浜島を見る健一の白い目にも心を向けず、ひたすら愛欲の歓びに溺れた。紅葉のころ、浜島苦心のドライブ旅行も小さな健一の本能的な男性にはね返されてしまった。浜島は再び幻影の虜になった。宿命というには、余りにも似かよった浜島自身の幼年期の体験。あの時のように俺は健一に殺される。泰子は浜島のノイローゼを満ちたりた笑いで一蹴した。しかし、おそるべき運命の符合は、悪魔のいたずらか、結末が逆になった。浜島が健一の首をしめてしまったのだ。浜島は六歳の子供である健一が鉈をふりかざして、浜島に迫った殺意を信じている。たとえ世間のすべての人が否定しようとも、かつて六歳の浜島が自覚した殺意の衝動、憎悪の瞬間を事実として告白し、一生叫びつづけなければならないのだ。

(c) キネマ旬報社
(c) Variety Japan

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