トーの映像哲学にはとても共感できる

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奇跡のように美しい銃撃戦と、男たちの切ない生き様が観客を魅了する香港フィルムノワールの決定版『エグザイル/絆』、監督は、『ザ・ミッション/非情の掟』のジョニー・トーだ。トー監督と初めて組んだ『ザ・ミッション~』で、演技の幅を一気に広げ、台湾金馬奨最優秀主演男優賞を獲得したフランシス・ン。やはりジョニー・トーの映画は、彼にとって特別な思い入れがある。
「ジョニー・トー監督は大変憧れの監督です。セリフでメッセージを伝えるのではなく、映像でその世界観を伝えようとする、彼の映像感覚、映像哲学には、個人的にもとても共感できる。今回は2度目だったので、監督が思い描いているイメージを、僕たち俳優の力でいかに実現させることができるか? というところに心を砕きました」
「ジョニー・トー監督は大変憧れの監督です。セリフでメッセージを伝えるのではなく、映像でその世界観を伝えようとする、彼の映像感覚、映像哲学には、個人的にもとても共感できる。今回は2度目だったので、監督が思い描いているイメージを、僕たち俳優の力でいかに実現させることができるか? というところに心を砕きました」
東洋と西洋の美が融合した、銃撃戦
前作の連作とも言える本作。キャスト陣も、前作とほぼ同じメンバーであったことは、作品の世界観を構築する上で大いに助けになったのだろうか?
「たしかに言葉の要らない交流は、前作でできていたので、そういう意味ではラクな部分もありましたね。ただ前作に比べて、今回はハードルの高い銃撃戦のシーンがたくさんあったので、俳優陣にとってはひとつのチャレンジでした(苦笑)」
ウーの家の屋内、レストラン、闇医者の家、ホテル……。ほとんど室内で行われた銃撃戦は、かなり過酷な撮影だったのでは?
「監督の美学を理解しているので、実際にセットを見れば、監督がどういうシーンを求めているのかがわかるんです。たとえば闇医者の家では、診察室や、待合室、医者の住居部分などがカーテンで仕切られていたのですが、布が舞う時の優雅な動きを活かすには、撃ち合うスピードをかなり速いリズムで見せないといけないなと、まず思いました。布の動きが曲線的な、東洋的な美しさであるならば、銃撃線のアクションは直線的な、西洋的なもの。その両方を融合させ、ひとつのメロディが生まれるような美しいシーンを監督は求めているのだと、セットに入った瞬間、イメージできました」
「たしかに言葉の要らない交流は、前作でできていたので、そういう意味ではラクな部分もありましたね。ただ前作に比べて、今回はハードルの高い銃撃戦のシーンがたくさんあったので、俳優陣にとってはひとつのチャレンジでした(苦笑)」
ウーの家の屋内、レストラン、闇医者の家、ホテル……。ほとんど室内で行われた銃撃戦は、かなり過酷な撮影だったのでは?
「監督の美学を理解しているので、実際にセットを見れば、監督がどういうシーンを求めているのかがわかるんです。たとえば闇医者の家では、診察室や、待合室、医者の住居部分などがカーテンで仕切られていたのですが、布が舞う時の優雅な動きを活かすには、撃ち合うスピードをかなり速いリズムで見せないといけないなと、まず思いました。布の動きが曲線的な、東洋的な美しさであるならば、銃撃線のアクションは直線的な、西洋的なもの。その両方を融合させ、ひとつのメロディが生まれるような美しいシーンを監督は求めているのだと、セットに入った瞬間、イメージできました」
ラスト・シーンには勝者の微笑をイメージして
日本映画にも出演するなど活躍の場を広げる彼だが、出演の決め手には自身の想像力が活かせる場所かどうか? という点が大切なポイントになると語る。
「もちろん新人の役者でも、若者らしい、面白い発想はできると思うんです。ただ、役者にとって大切なことは、監督の美学を理解しているかどうか、という想像力の方向性ではないかと僕は考えます。たとえば先ほどのカーテンの布を、ジョニー・トーはどう活かそうと考えているのか? 監督と同じ方向で想像力を働かせないと、作品世界が破綻してしまう。その辺はキャリアというのか、その監督のやり方に慣れているかどうかということに尽きるのかもしれません。もちろん今後も機会があれば、いろんな国の監督と一緒に仕事がしたいと思っています。作品を作る上で、文化的な違いが融合するのは楽しいことですから! 一例をあげると、日本ではラーメンを食べる時に音を立てて食べますけど、中国では失礼な行為にあたります。同じラーメンを食べるシーンでも、製作する国によって芝居も変わるんです。僕自身は麺類が大好きなので、日本流が好きなんですけどね(笑)。そういう場合に頼りになるのは、やはり監督だと僕は思う」
フランシス・ンの豊かな想像力が活かされた銃撃戦からは、哀しみや情熱、居合わせた男たちの感情が折り重なって、重厚なメロディが聴こえてくるようだ。最後に、ラストの匂い立つような微笑について語っていただこう。
「ラスト・シーンの笑顔は、勝者の微笑をイメージしました。ウーの妻子をホテルの外にさえ出してしまえば、我々のミッションはほぼ達成されている。我々に残された道は、ただ一緒に死んでいくことだけなのだという男気をこめて演じました」
「もちろん新人の役者でも、若者らしい、面白い発想はできると思うんです。ただ、役者にとって大切なことは、監督の美学を理解しているかどうか、という想像力の方向性ではないかと僕は考えます。たとえば先ほどのカーテンの布を、ジョニー・トーはどう活かそうと考えているのか? 監督と同じ方向で想像力を働かせないと、作品世界が破綻してしまう。その辺はキャリアというのか、その監督のやり方に慣れているかどうかということに尽きるのかもしれません。もちろん今後も機会があれば、いろんな国の監督と一緒に仕事がしたいと思っています。作品を作る上で、文化的な違いが融合するのは楽しいことですから! 一例をあげると、日本ではラーメンを食べる時に音を立てて食べますけど、中国では失礼な行為にあたります。同じラーメンを食べるシーンでも、製作する国によって芝居も変わるんです。僕自身は麺類が大好きなので、日本流が好きなんですけどね(笑)。そういう場合に頼りになるのは、やはり監督だと僕は思う」
フランシス・ンの豊かな想像力が活かされた銃撃戦からは、哀しみや情熱、居合わせた男たちの感情が折り重なって、重厚なメロディが聴こえてくるようだ。最後に、ラストの匂い立つような微笑について語っていただこう。
「ラスト・シーンの笑顔は、勝者の微笑をイメージしました。ウーの妻子をホテルの外にさえ出してしまえば、我々のミッションはほぼ達成されている。我々に残された道は、ただ一緒に死んでいくことだけなのだという男気をこめて演じました」
フランシス・ン
1961年、香港生まれ。TVBの俳優養成所で学んだ後、TVドラマに多数出演する。95年に『欲望の街 古惑仔Ⅰ 銅鑼湾の疾風』で主演のイーキン・チェンの敵役・カンで、一躍注目を浴びた。1999年に香港で公開されたジョニー・トー監督作『ミッション』の演技で、台湾のアカデミー賞である金馬奨・最優秀主演男優賞を受賞。『インファナル・アフェア 無間序曲』、『OVER SUMMER』をはじめ、香港映画界を担う実力派俳優に。『無問題(モウマンタイ)』、『軍鶏』などの日本映画への出演経験も。
『エグザイル/絆』
●監督:ジョニー・トー 出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ロイ・チョン、ラム・シュ、ニック・チョン、ジョシー・ホー、サイモン・ヤム、ラム・カートン、リッチー・レンほか
●原題:EXILED放・逐/2006年/香港=中国/2008年12月6日(土)から、シネマスクエアとうきゅう、シアター・イメージフォーラムほかにて日本公開
●配給:アートポート
→公式HPhttp://www.exile-kizuna.com/
text by Kana Ishimura(variety japan)
1961年、香港生まれ。TVBの俳優養成所で学んだ後、TVドラマに多数出演する。95年に『欲望の街 古惑仔Ⅰ 銅鑼湾の疾風』で主演のイーキン・チェンの敵役・カンで、一躍注目を浴びた。1999年に香港で公開されたジョニー・トー監督作『ミッション』の演技で、台湾のアカデミー賞である金馬奨・最優秀主演男優賞を受賞。『インファナル・アフェア 無間序曲』、『OVER SUMMER』をはじめ、香港映画界を担う実力派俳優に。『無問題(モウマンタイ)』、『軍鶏』などの日本映画への出演経験も。
『エグザイル/絆』
●監督:ジョニー・トー 出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ロイ・チョン、ラム・シュ、ニック・チョン、ジョシー・ホー、サイモン・ヤム、ラム・カートン、リッチー・レンほか
●原題:EXILED放・逐/2006年/香港=中国/2008年12月6日(土)から、シネマスクエアとうきゅう、シアター・イメージフォーラムほかにて日本公開
●配給:アートポート
→公式HPhttp://www.exile-kizuna.com/
text by Kana Ishimura(variety japan)













































